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遺言書を書く~自分の思いを相続人に伝える

遺言書を書くことの2つの意義

遺言を書くということは、自分の死後財産をどうしたいかという思いを残された人に伝えるという自然な目的と、限られた法定相続人以外にも財産を残すという積極的意義があります。

思いを伝える

前者は、法定相続人の誰になにを残しておきたいかという仕分け作業です。法定相続分と大きく食い違うような遺言であれば遺留分の減殺請求などの争いも生じますが、それはもらう人たちの中の問題であり、偏った遺言でも相続人が誰も異議を唱えなければ、そのまま遺言通りの相続(遺言で財産を贈与する遺贈を含む)が行われるわけです。

また、相続人全員の合意があれば遺言書とは異なる相続も起き得るわけで、相続人の間での権利調整がうまくいけば大きなトラブルになるようなことは殆どありません。

つまり、ここでの遺言書の意義は法的に有効であるかどうかということより、被相続人の思いを相続人に伝える手段としての役割にあります。

法定相続人以外へ財産を譲る

一方、法定相続人以外に財産を譲るということは、なくなった人が法定相続人には相続させたくないか、あるいは特定の誰かにどうしても譲りたいということであり、遺言を書かなければぜったいにおこらなかったような財産の相続が遺言書一つで決定的な事実として確定することになります。

「自分の故郷の街に全財産の内1/5を遺贈する。」「公益法人に1000万円を遺贈する。」など、遺言書にその人の思いが記されれば、法定相続人はそれを容易に覆すことはできなくなるのです。

それだけに法定相続人以外への極端な遺贈は大きなトラブルが起こる可能性がありますから、遺言を書く人は、なぜそのような遺言を書いたのか、自分の考えをしっかり遺言書の中に残すことが重要です。

遺言書の3つの種類

一般的な遺言書には、自筆証書遺言公正証書遺言秘密証書遺言 の3種類があり、状況や目的に合わせて自分に合った方式を選択することができます。

超高齢化の時代を迎えて、遺言を何度も書き換える人も増えています。最も日付の新しいものが有効になります。遺言書の内容を確実に実行したい場合は公証人に依頼をする公正証書遺言を選択すると良いでしょう。

遺言書のメリット

遺言を書くことは、自分の思いを相続人に伝えるという目的の他に、相続人の立場を守る決定打になり得るという側面もあります。

それは、遺言によって本来遺産をもらえるはずのない人がもらえるようになるという僥倖的なことではなく、貰えるべき人が貰えなくなったり貰いにくくなったりすることを防ぐためにカードを切る、ということなのです。

また、遺言書は書かれた内容により相続人の権利が確定する、という原則の意義は当然ありますが、遺言で財産を相続した人が相続手続きを単独でできるという点も実は大きなメリットです。

遺産分割協議書の作成

相続人の間で相続する財産の行方が決まれば、遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議は相続人同士が被相続人の遺産を相続人の誰が引き継いだのかを決める手続きであり、いつまでにしなければならならないという定めはありませんが、協議書には皆が実印を押し一度決めれば撤回はできません。

生前、意志のあるうちに自分の考え方を残しておく

日本は超高齢化社会へと邁進していますが、それに伴い晩年は病院で寝たきりになってしまう人も増えています。

遺言書は死後の財産の方向を自らが定めるものですが、生前の内でも意志のある時とそれが無くなったときという分け方をし、一定の方向づけをすることは、今後ますます重要になっていくと思います。

これについては、遺言書とは別に”自分の思い”をまとめておく習慣を普及させておきたいものです。自分が自分でなくなったときにはこうしてほしいという一つの方針を誰かに委任しておくわけです。

尊厳死は最も大切な意思表示ですが、それ以外にも財産の活用や家族へ役割を支持することなども重要です。医師や病院との連携も大切ですが、菩提寺や教会などと元気なうちにそうした手続きを取り交わして置くことも意味があります。日頃から継続的に関わっているところに自らの意思を残しておくことで、一定のサポートをしてもらえるはずです。

これは、相続における総括的な権利調整とは異なりますが、自らが生きているうちに築き上げたご縁を生かしてお願いしておく思いやりの和、という位置づけです。

結果的にその方針に基づいて動くことで、家庭間において一定の権利調整が行われることには変わりありません。

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